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言葉変換『もんじろう』用アイコン アグノシア   

2015年 03月 31日

息子は大学1回生である。

大学は前後期制であり、前期の成績はヒドイものだった。
ヒドイ、というか、極端なものだった。

……もうねえ……AかF、っていう。
サスガだなオメー、っていう……(はー)。

アメリカの大学というところは日本の大学と比べるべくもないシビアな学び舎であり
息子は学部ガイダンスコーディネーターから事情説明の出頭命令を受けた。

ところが息子は出頭命令のメールも留守電もすっとばしてガン無視を続けたものだから
話は非常にややこしくなった。

何故ガン無視を続けたかというと、メールも留守電もチェックしていなかったからである。
何故チェックしていなかったかというと、そういう生活面のオーガナイズがまったくできていないからである。

まあいろいろあって、息子の雁首つまんでガイダンスコーディネーターのところに出頭させることはできたのだが
息子のあまりのヘッポコぶりに呆れ果てたコーディネーターは、大学のカウンセリングプログラムへ行くことを強力に勧めてきた。

息子は小学校のころ、学校側の勧めでカウンセリングに通ったことがある。
そのときのは 時間の無駄 としか思えないシロモノだった。

今回は本人が親元にいないだけに私も不安になり

どうしてこの男は大切なことをスッカラカンと忘れるのか
時間や物事をオーガナイズできないのか
好きなことだけに夢中になりすぎて他がすべておろそかになるのか

カウンセリングに行くことで何か解決するなら行ってくれ、と思ったし
本人も「行く」と言った。

そして息子は定期的にカウンセリングに通うようになった。

春休みに家に戻ってきた息子に様子を尋ねると、驚くべき返事が返ってきた。

様々な検査をした結果、息子は アグノシア なのだという。

アグノシアにもいろんな種類があるが
息子に関わっているのは

facial agnosia
Associative visual agnosia

だそうである。

facial agnosia というのは、人の顔や名前が憶えられない。
ブラッド・ピットがカミングアウトしたアレである。

Associative visual agnosia とは、私も詳しくは分からないのだけど
電気とガソリンを組み合わせて走行する環境にやさしい車、というのは知っているのに「ハイブリッドカー」という言葉がどうしても憶えられない、というような症状なのだそうだ。

息子は3〜4回練習した曲は全部憶えてしまう。
その領域の記憶や認知はむしろ人並み以上である。
それと息子的アグノシアとは全然別問題なのだという。

アグノシアは知的障害や学習障害ではなく、脳機能障害である。
その原因は一般的に、事故による脳損傷、脳梗塞などが多い。
息子は幼い頃よりモノおぼえが悪いという自覚があり、特別頭を打ったりする事故も経験していないため
どうしてアグノシアになったのかは原因不明なのだという。

つまり息子のアグノシアは産まれつきの特性であり、しつけでどうにかなるものではなかった。
一番困っていたのは息子であろう。

普通は中学のとき、遅くとも高校で見つかるもんなんだけどねぇ? 
とカウンセラーは言ったらしい。

よう大学生になれたなそれで  と息子に言ったら
息子 カウンセラーもそう言ってたよ ってサラッと答えてた。
高校卒業まで普通の生徒と同じようによくやってこれたなってことらしい。

息子の通った中学も高校もマンモス校で、生徒一人ひとりのケアなんかまるでない学校だった。
息子は親に尻を叩かれながら、何度も落第の危機をくぐりぬけて今までやってきた。
ギフテッド中学、ハイセレクティブな高校の中で常に学業はぱっとせず
この男は頭がよくないのだろう、と親はずっと思っていた。

だから私は息子に
頼りない、ダダ漏れだ、怠け者だ、しっかりしろ、鳥頭で3歩あるくとすべて忘れる、などとガミガミ言い続けてきた。

でもこれは、生まれつき脚の悪い子に「どうしてもっと早く走れないんだ」と怒りまくっているに等しい。

息子にはなんて可哀想なことをしてきたんだろう、って思った。
そして私は息子に謝った。
気付かなくてごめんな。さんざん罵倒してごめんな。
謝ってたら涙が出てきた。

息子は

お母さんはそんな謝らんでもええよ。
だって一番苦労したのはお母さんだし。
謝らんとってよ。
と言った。
息子の優しさにますます泣けてきた。

頼りない息子をなんとかしなければ、という一心で、私は息子を守り続けてきた。
大学に入り、一人で何もかもやらなければならなくなり
今回問題が一気に噴出した息子。

気になるアグノシアの程度だが、息子のは「努力すれば憶えられる」段階だという。
言い換えれば、いちいち頑張らなければ憶えられない。
オノレがアグノシアだと分かった今後は、ずっと記憶に関して頑張って努力するよりほかない。

客商売は無理だろう。
営業なんかもダメだろう。
ミジンコの研究、とかが一番いいような気がするが。

息子がアグノシアだと判明したからといって本人の「生きにくさ」に変わりはないが
少なくとも今後親からの罵倒は減るだろう。

何よりも本人が自分の特徴を意識し、それを補う生活習慣を身につけてくれることを切に願う。
息子には幸せになってもらいたい。
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by brook2015 | 2015-03-31 07:08